12 May '2006 - 01:06 | 雑記 何ごとにも適用範囲がある
アメリカにはブレーキのない自転車が多い。まあ、足でてきとうに止まれる程度の速度しか出さなければ問題ないのだろうし、徐々に止まればいいだけってことなのかも知れない。中学生はスクールバス、高校生は自分の車で通学できるし、自転車にブレーキがないくらい、たいした問題じゃないんだろうな。大らかな国だな。なんて思っていた時期があった。
だって、実際にそうだったとしてもぜんぜんおかしくないくらいに、大らかなすぎることだらけの国だし。
実際には、ブレーキがないわけではなく、たんに日本ではほとんど見かけないコースターブレーキというのを採用している自転車が多いだけ。とくに子供用はほとんどそれと言ってもいい。うちの息子のもそれ。
コースターブレーキとは、後ろのフリーホイルの中に仕掛けがあって、ペダルを後ろ向きに動かすとブレーキがかかる仕組みのブレーキ。ハンドル周りにはブレーキ用のワイヤとかがなくなってスッキリ。フリースタイル用の自転車で、ハンドルがくるくる回っちゃうやつとかだとハンドルにブレーキがついてないけれど、ああいうのはこのコースターブレーキを使っている。
ちなみに、コースターブレーキの自転車には一度も乗ったことがなかったので、 息子に自転車を買ってやったときには自分も乗るのが楽しみで仕方なかった。もちろん、息子用の自転車なので小さすぎて乗りにくいのだけれど、ブレーキの調整がすごく新鮮で楽しい。ときどき乗らさせてもらってる。
で、それがどうしたかっていうと、以下の記事を見つけて思ったわけです。
■ポイント1 ペダルを外す!
補助輪があるときとそうでないときとで、最も違う点はバランスです。バランスを 崩して転ぶことが怖いのですから、まずはバランス感覚を身につける練習から。そのために邪魔になるのがペダルです。思い切って外しましょう。ペダルを外す 際に必要な工具は「ペダルレンチ」のみ。サイクルショップなどで1000〜2000円程度で買えます。All About - これぞパパの出番!自転車の乗り方
つまり、補助輪つきの自転車に乗っている子供に補助輪なしの自転車の乗り方を教えるには、どうしたらいいかって話なんだけれど、このページで紹介されているペダルを外すという方法は、当然ながらコースターブレーキの自転車にはまったく使えない。だって、ペダルを取っちゃったらブレーキかける方法なくなっちゃうし。大らかな国とはいえ、ブレーキは必要だし。
ペダルをとっぱらって足で地面を蹴って走らせることで、補助輪がない感じを掴ませるってのは、ものすごくいい方法だと同意する。でも、残念ながら手でブレーキをかけるタイプの自転車にしか応用が利かない。すごくいい方法だけれど、アメリカではまず役に立たない。日本では、ほとんど全ての自転車がそういうタイプの自転車だからそれが自転車というものだと思い込んでしまうけれど、そうじゃないのもあるどころかそうじゃない方がふつうっていう文化が外にはあったりする。
つまり、一般的に、たとえそれがどんなにいい方法だったとしても、それが実際にいい方法であるための前提というものが多かれ少なかれ必ずあって、その前提が仮定できるという条件ものでしか、そのいい方法はいい方法たりえない。
当たり前のことといえば当たり前なのだけれど、しかし、その話が何を前提にしているのかを正確に把握するのは言うほど簡単じゃない。自転車のブレーキがハンドルについているということは、自転車の条件そのものであって、上記の作戦が成功するための前提とは気づきにくいんじゃないかな、と。